たからさがし

2004年5月12日 日常
小さい頃によく砂場でたからさがしゲームをした。
 
皆で持ち寄ったおもちゃなどをあらかじめ砂場に埋めておいて
 
一斉に探し始めるのだ。
 
掘り当てたものが自分のものになるわけでもないのに
 
必死に辺りをほじくりかえしていたっけか。
 
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夏目漱石の夢十夜、第6夜だったか。
 
運慶が護国寺で仁王を彫っているのを見物する話がある。
 
その中で同じく見物していたオトコが
 
「あれは木の中に元々埋まっているのを彫り出しているのだ」
 
と評するのだが、世の中などそんなものなのかもしれない。
 
しかし、埋まっているものを最初に見つけ出す力というものは
 
並では身に付けられないとも思う。
 
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何かを書こうとしてエディタなどに向かっていると、
 
ある一点を境に文章を書く手が鈍ってくることがある。
 
まてよ
 
これはひょっとして誰かが以前どこかで同じようなことを
 
書いていたのではなかろうか
 
といった念に囚われるのだ。
 
俺はただ自分だけの発見をしたような気分になって
 
他の人があらかじめ発見してしまっていたものを
 
新たに掘り起こしているだけなのではなかろうか、と。
 
自分の独自性が信じられなくなってくると
 
その時点で全てが白々しいものに思えてくる。
 
大変なおごりではあるけれど、そうなんだから仕方が無い。
 
他人が以前掘り起こした「たから」を
 
再び掘り起こしていい気になってるガキの気分。
 
俺が書く意味があんのか。
 
他にもうまいこと書いてるのはいっぱいあるぞ。
 
そいつらに任せとけばいいんじゃねぇか。
 
そうやってどんどん自分が無為なものに思えていくのだ。
 
…これって、大層なおごりだよな。
 
どんなもんでも、書いてみないとわかんないのにな。
 
 

 

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